日頃からのタイの子どもたちと貧困層の人々が抱える問題へのご理解とご支援に、深い感謝の意を表します。ご支援者の皆様の新年のご多幸とご活躍をお祈り申し上げます。
ドゥアン・プラティープ財団は、設立以来これまで46 年間にわたって子どもたちと貧しい人々の良き未来のために活動を続けてまいりました。2024 年の重要な活動を以下のように要約し、ご報告いたします。
児童・青少年育成
約3年前、宮城県の仙台育英学園高校の国際センターのご協力で奨学金を受けて留学していた2名の女子生徒が、今年10月、卒業を迎えてタイに帰国しました。そのうちの1名は、カンチャナブリ県にあるサイヨークマニー学校の日本語教師の助手として就職し、同時に県内の定時制大学で勉強を続けながら働く予定でいます。また、さらに2人の女子生徒が現在仙台育英学園沖縄高等学校に留学しており、日々勉学に励んでおります。
技能実習生(介護福祉士)派遣のための日本語・介護研修
当財団は、日本の福井県と協力し、2020年から現在まで、カンチャナブリ県行政機関学校(バーンガオ)の高校生を対象に日本語と介護の指導を行い、日本での研修や就労のために青少年を派遣しています。これまで合計43名が日本の労働法に基づき福井県に派遣され、賃金を受け取っています。2024年4月には、カンチャナブリ県知事と県組織部長が福井県の技能実習生として派遣された子どもたちを訪問して激励し、福井県職員の方々とも友好を重ねました。また、今年9月には、福井県の鷲頭美央副知事が来タイされ、カンチャナブリ県知事と覚書(MOU)を締結されました。
日本での社会福祉士養成研修
日本でのソーシャルワーカー研修のため、生き直しの学校カンチャナブリ校のスタッフのマネーラット・ロドンガムさんが学士号を取得し、財団でソーシャルワーカーのアシスタントとしてインターンシップを行いました。また、全国社会福祉協議会から選抜され、1年間日本でソーシャルワーカーとして現在研修中です。
奨学金事業
2024年にご支援者から奨学金を受けている児童・青少年は合計1,165口で、その内訳は高等教育126口、職業教育156口、高校130口、中学校228口、小学校366口、幼稚園84口、緊急奨学金75口となっています。
生き直しの学校事業
カンチャナブリ校とチュンポン校には、合計85人の少女と少年が滞在しています。2024年には、男子1名がシラパコーン大学文学部を受験し合格しました。また、ディプロマ・レベルで3名の男子生徒が高等職業証明書(Vocational Certificate)を取得しました。
また、カンチャナブリ校では、3人の姉妹(12歳、5歳、2歳半)を受け入れました。彼女らの父親は麻薬で服役中、母親は麻薬中毒で、子どもたちに覚せい剤の配達を強要していたため、逃げ出したところを大人に保護されました。タイ政府の規則では、公立の児童養護施設では年齢によって受け入れる施設が分けられているため、県の職員から当財団に連絡があり、3人の姉妹がそろって一緒にカンチャナブリ校で新しい生活を送る方がいいのではないかと依頼されました。
ドゥアン・プラティープ幼稚園事業
2024年度は、モンテッソーリ理論に基づきあらゆる面での発達のための教育を実践する当財団の幼稚園では、近隣諸国(ラオス、ミャンマー、カンボジア、インド)からきた両親を持つ子どもたちを含め、総勢168名の園児を受け入れました。また、外国人ボランティア教師からは英語を学び、英語で歌い、踊りながら楽しく読む、聴く、書く、話すことを一緒に学んでいます。遠く離れた地域の児童発達センターからも、毎週子どもたちが通って英語のレッスンに参加していています。
お話しキャラバン事業
お話しキャラバンは、人形劇で知識と楽しさを学校に届けています。地域社会や学校で、「ヘルメットの着用」、「蚊からの危険防止」、「環境への配慮」、「ゴミの収集と分別」など、子どもたちの安全意識を促進し、2024年はワットホワイポン学校の生徒にサイアム・ソルベイ財団の支援でヘルメットを900個配布しました。
防災プロジェクト
当財団とクロントイ地区の災害救援部隊、行政と地域社会が共同で、4校の小学校高学年と中学生を対象に、防災と救命(心肺蘇生)のトレーニングを行いました。その結果、合計4校で837人の生徒たちが研修を修了し、新しく開発されたコミュニティで被災者のために36軒の家を修理・建設するための備品を見つけたことを含めると計50回にわたってコミュニティ内外の消火活動を実施しました。
高齢者支援事業
毎週木曜日、スラム地域に住む180人の高齢者が集まり、祈りを捧げることで健康を促進します。マントラを唱え、瞑想し、ニュースを聞き、一緒に食事をし、歌や踊り、運動などの楽しい活動を行います。またクロントイ地区では、地元の基金が支援する高齢者向けの活動があり、キノコを栽培したり、健康的な食べ物を育てたりして、友情を手に入れ、お互いに分かち合っています。
皆様がこの1年間、子どもたちや貧しい人たちのために身も心も知恵も財力も捧げてきた功徳が実りますように。そして、皆様が幸せで、健康で、良いことが人生に訪れ、すべての願いが叶いますようお祈りいたします。
備考
2001年9月11日にニューヨークで起こった同時多発テロ事件を記念して、在タイ・アメリカ大使が救援袋を配布するボランティア活動を企画され、当財団とクロントイ値域を訪問されました。
在タイ日本大使館からは特命全権大使のほか、公使など5名の職員がクロントイにお越しになり、救援袋をお渡したり、財団の活動を視察されたりしました。
バンコク都知事のチャチャート・シットティパン博士が、「ナショナル・チルドレンズ・デー」活動の議長を務めました。
在タイ韓国大使館の公使とご家族が、カンチャナブリの生き直しの学校の子どもたちと青少年を訪問しました。
Auskids協会は、ベトナム・ホーチミン市で開催された2024年アジアカップ・サッカー競技「オーストラリアン・ルール」(AFL: Australian Rules Football)に、10名のクロントイの子どもたちを招待しました。
KPMG(税理士法人)タイランド社は、継続的な児童発達研修の実施を支援しています。
プラティープ・ウンソンタム秦
ドゥアン・プラティープ財団創設者・事務局長